今日は他のブログ記事の紹介を。これです。
超左翼おじさんの挑戦
中国の言論裁判、日本とEUの違い
http://chousayoku.blog100.fc2.com/blog-entry-350.html 私は、松竹氏の主張に賛同します。理由とともに、補足しておきたいところを述べます。
第一に、中国が今後国際社会の中でより大きな地位を占めるのは間違いありませんが、その際、国際的な人権の基準を満たすことが必要になってきます。ここで問題となるのが、中国が市民的及び政治的権利に関する国際規約を批准していないということです(2010年1月現在。署名はしている)。選択議定書も含めて批准することを、国際機関を通じて働きかけることが必要となってくるでしょう。
第二に、東アジア共同体を実現する上で、人権の問題は絶対に避けられません。新福祉国家論での東アジア共同体についてはまだその輪郭をはっきりさせているわけではありませんが、労働や環境、農業に関する域内共通の基準を設けることについては議論の一致を見ています。この基準を担保するためには、各国政府任せにしてはだめで、共同体に参加する国々が合意して設ける何らかの機関が必要です。
そしてその機関は、基準より下の事態のため何らかの権利侵害を被った人々からの異議申し立てを受け付けることができなくてはなりません。そのためには、松竹氏の記事の中で問題となっている、自国の政府に対する批判も含めた、言論の自由の保障が必要不可欠です。
ただし、松竹氏の議論に私なりの補足を加えておきます。すなわち、中国のそうした人権の後進性を引き起こしている原因は何か、考えた上での議論が必要だということです。
中国だけでなく他の発展途上国も含めて、人権の後進性がしばしば指摘され、その原因がその国の政府の統治能力の低さなど、その国自身の問題にあるとされます。それは確かにそうなのですが、そうした事態を先進国が招いている面があることを否定するわけにはいきません。
主なアクターは、先進国の多国籍企業です。多国籍企業が発展途上国に進出するのは、それらの国々では賃金が低く労働や環境規制が緩いため、本国より安く生産できるからです。また、発展途上国によっては開発主義的な政策をとり、多国籍企業の進出を自ら招いているところもあります。
問題は、そうした多国籍企業が進出先の低い賃金や、緩い労働・環境基準をそのまま維持しようと行動することにあります。そうしなければ、進出するメリットがないからです。これが、発展途上国における搾取・抑圧の主要因となり、南北問題の原因の一つともなっています。
私も松竹氏と同じく左翼ですが(ちなみに新福祉国家構想とは旧来の福祉国家を左翼的にバージョンアップしたものです)、左翼であるならば、経済の土台の部分からの分析も必要だろうと考えます。中国の場合でいうと、日本の多国籍企業の活動が現地住民にどれほどの搾取・抑圧を強いているか、中国当局の動きにいかなる影響を与えているかを研究する必要があります。当ブログの今後の課題としましょう。
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