木尾原研究所にご訪問してくださりありがとうございます。初めてこのブログをご覧になる方は、以下に記載してあるこのブログの運営方針についてお読みください。
1.ブログのねらい このブログを運営する目的は、一橋大学教授の渡辺治氏や都留文科大学教授の後藤道夫氏らが提唱している新福祉国家論に賛同し、その立場から、新しい政治・経済・社会のあり方を考えていくことです。
新福祉国家とは、90年代以降支配層によって推し進められてきた構造改革・軍事大国化に対抗すべく打ち立てられた国家構想のことです。提唱者の一人である渡辺治氏によれば、次のような特徴を持っています。
(1)構造改革によって破壊された、社会保障・教育・弱小産業の保護の再生、抜本的拡充をはかる。
(2)構造改革・軍事大国化の衝動となっている多国籍企業の野放図な資本蓄積に規制を加え、他国を侵害しない経済秩序をつくる。
(3)「武力によらない平和」を基本理念とし、核兵器の使用禁止・廃絶、武器の禁輸など、国際平和をつくる政策を、推進する。
(4)多国籍企業の規制を行うため、他の先進資本主義国との福祉国家連合を形成する。
詳しくは、以下の著書・論文を参考にしてください。
後藤道夫『反「構造改革」』、青木書店、2002年
後藤道夫『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』、旬報社、2007年
二宮厚美『日本経済の危機と新福祉国家への道』、新日本出版社、2003年
二宮厚美『憲法25条+9条の新福祉国家』、かもがわ出版、2005年
渡辺治他『講座現代日本4日本社会の対抗と構想』、大月書店、1997年
渡辺治「安保のない日本をつくるために」、渡辺治・森英樹・水島朝穂編『グローバル安保体制が動きだす』、日本評論社、1998年
渡辺治・和田進編『講座戦争と現代5平和秩序形成の課題』、大月書店、2004年
渡辺治・二宮厚美・岡田知弘・後藤道夫『新自由主義か新福祉国家か』、旬報社、2009年
2.論じていきたいこと
このブログで私が重点的に論じたいことは以下の4つになります。
(1)憲法9条に基づいた平和国家構想 新福祉国家構想において、これが一番検討が不足している分野です。最近刊行された『新自由主義か新福祉国家か』でも、これについては論じられていません。新福祉国家構想に賛同する論者の著作で、平和国家構想について体系的な議論がされているものは、渡辺治氏の「安保のない日本をつくるために」と、『講座戦争と現代5平和秩序形成の課題』だけです。これについても包括的な議論がなされているのみです。
「福祉の充実には賛成するが、北朝鮮や中国が軍拡している下で、自衛隊を強化すべきだ」と言う意見をよく耳にします。こういった意見は、ともすれば賛同を得やすいと私は感じています。であるからこそ、検討を急ぐべき分野です。
(2)現在のグローバル体制に替わる新たな国際経済秩序 新福祉国家構想は、日本一国だけではできません。日本の構造改革が、多国籍大企業中心の経済グローバル化を背景にして起こったことを考えれば、それに替わる国際経済のあり方を考えていく必要があります。これも、昨年のリーマンショック以降の大不況の下、検討が急がれるべき分野です。
(3)アジアの課題 新福祉国家を実現する上ではアジアの問題を避けてとおることはできません。東アジア共同体に関する議論が、外務省や経団連から盛んに出ているように、支配層もアジアを重視しています。その上、平和国家構想と新しい国際経済秩序の接点が、まさにアジアなのです。
日本が平和であるためには、アジアの安全保障の環境を抜本的に改める必要があります。朝鮮半島の核の問題や、中国の軍拡、台湾の問題がここには含まれます。また、2010年は日本が韓国を併合してから100年が経ちますが、歴史問題も最終的な解決をみていません。
経済的な観点で見ると、アジアは、日本の多国籍大企業が進出をしている主要な地域であるとともに、中国を筆頭に、今後経済成長が見込まれる地域です。この地域での貧困や環境問題を解決していかねばなりません。
(4)担い手の問題 政策や構想はそれだけでは力を持ちません。それを考え、実行していく担い手が必要です。新福祉国家をめざす、あるいはめざすべき社会運動・労働運動・平和運動を、いかに作り、発展させていくかということがテーマになります。これには当然、新福祉国家の政府構想も含まれます。
ただし、このことは机上で考えていてはだめです。運動を実際に展開していく中で模索していくべき問題です。よって、商業マスメディアがほとんど報道することのない運動の現状についても、私が参加しているものが中心にはなりますが、紹介していくことになります。
3.形式的なこと(1)コメント・トラックバックについて コメント・トラックバックは基本的に自由です。誹謗中傷や不適切だと感じられたものは削除します。しかし、私の議論に対する建設的な批判は、ぜひお書きください。
なお、コメントに逐一返答することはしません。エントリの中で、それらを踏まえた議論を展開するという形にしたいと考えています。
(2)リンクについて このブログへのリンクは自由です。ただし、事後で構いませんのでコメント上で連絡いただけると幸いです。
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